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2019.08.22
2024年に始まる医師の働き方改革、勤務医3,000人に「時間外労働」に関する調査を実施 ~勤務医の55%が、「時間外労働の規制を遵守できない」と回答~

医師12万人以上(国内医師の3人に1人)が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer(メドピア)」を運営するメドピア株式会社(東京都中央区、代表取締役社長 CEO:石見 陽)は、この度、会員医師の内、勤務医約3,000人を対象に、医師の働き方改革で焦点になっている「時間外労働」に関するアンケートを実施いたしましたので、その結果をお知らせいたします。

<調査の背景>
2019年4月1日より働き方改革関連法が順次施行され、一般企業で始まった時間外労働の上限規制が2024年4月から医師にも適用されます。厚生労働省が2019年3月28日にまとめた報告書では、医師の時間外労働の上限は原則「年間960時間」とし、地域医療確保の暫定特例水準や集中的技能向上水準に該当する場合、特例として「年間1860時間」まで認められることが決定しています。そこで、本規制の影響を大きく受けるだろう勤務医の方々に、「時間外労働」に関する現場の考えを聞きました。

調査結果のサマリー

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「10年前と比べて時間外労働は減ったか?」の質問を投げかけたところ、最多回答は「特に変わらない」(29%)であったが、「減っている」(28%)と「どちらかといえば減っている」(24%)を合わせて、52%の医師が「10年前と比べて時間外労働は減っている」と回答した(40代以上の勤務医2,908人が回答)。理由には、年齢・役職や経験、職場変更等による変化も多く挙がったが、病院による意識改革や医療事務の配置等での負担減少を挙げる声もあった。

・一方、2024年からの「時間外労働の規制を遵守できると思うか?」に関する質問では、最多回答は「どちらかといえば遵守できないと思う」(32%)であり、2位の「遵守できないと思う」(23%)と合わせて、55%の医師が「時間外労働の規制を遵守するのは難しい」と回答した(勤務医3,000人が回答)。理由には、医師数の不足や医師の業務量の問題を解決しないと難しいこと、患者さんの容体に応じた対応が必要であることを挙げる声が多く、原則「年間960時間」の上限規制を遵守するには、根本的な解決策が必要だと感じている医師が多いことが分かった。

調査結果の詳細(1):「10年前と比べて時間外労働は減ったか?」

(回答者:MedPeer会員医師の内、40代以上の勤務医2,908人、調査期間:2019/6/27~2019/7/3)

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<回答コメント(一部を抜粋)>
1位 「特に変わらない」  830件
・日勤帯での仕事を持ち越すことは減っていますが、時間外勤務での患者数が非常に多くなってきています。(40代、脳神経外科)
・雑務は増大しているが、患者数が減少しているので全体としては変わらない。(50代、小児科)
・診療に関する業務は職位の上昇とともに減ったが、研究や論文作成、後輩の論文指導などやることは多い。(40代、小児科)
・総量としてはあまり変わらないとは思いますが、研修制度の改革、医療費削減などで、負担感は増していると思います。(60代、一般外科)
・ドクターズクラークなどの配置で減った業務もあれば、リスク管理方面での講習会出席や書類作成など煩雑になったものもあり、トータルでは変わらない印象。(40代、眼科)

2位 「減っている」  821件
・10年前は救命センターに勤務していたのでとんでもない時間の時間外労働をしていました。今は異なる病院に異動したので減っています。(50代、循環器内科)
・病院からも時間外労働を減らすように言われており、帰れるときは早く帰ろうという流れに変わってきていると思います。(40代、皮膚科)
・自分自身は加齢に伴い減っていますが、若い先生達も確実に減っています。20時過ぎに医局にいる先生はいません。(60代、小児科)
・医療事務(ドクターズクラーク)を置いてくれるようになったり、看護師ができる裁量が増えたりと、余計な仕事が減ったと思われます。だからといって時間外がないわけではありませんが。(40代、脳神経外科)

3位 「どちらかといえば減っている」  703件
・病院勤務から診療所勤務になったので、時間外労働は減っています。病院勤務のままだったらおそらく時間外労働は増えていると思います。(50代、一般内科)
・以前は人手が足りない中、ハードワークをしていましたので時間外労働も多くなっていましたが、最近は時間外労働に対する意識が向上しているので、少なくなっている印象です。(60代、家庭医療)
・書類の整理、会議などの時間外での仕事が増えたが、臨床の時間外は減っている。(70代以上、診療内科)
・経験を積んで判断や仕事が早くなったことが理由かもしれませんが、仕事量は増えていますが時間外は減っています。(40代、一般内科)

4位 「どちらかといえば増えている」  266件
・書類仕事などは一般診療業務が終了してから行っており、時間外でやる時間は増える一方です。(40代、代謝・内分泌科)
・病院にもよると思いますが、患者の利便性やサービス向上のため費やされる時間は増えている。(40代、一般外科)
・施設が変われば色々と異なるので単純に比較は難しいのですが、行わなければならないこと(会議、院内講演会等)が増えています。(40代、一般内科)
・以前より増えている気がします。働き方改革で、実労働時間が制限された半面、時間内でこなせない仕事はやはり残ってするしかない状態です。(50代、麻酔科)

5位 「増えている」  198件
・以前より、診療に費やす時間が書類などの事務作業のしわ寄せを受けており、全体的な時間は増加している。(50代、循環器内科)
・研修医の指導や部署内の雑務、委員会活動など、10年前にはしていなかった仕事が増えているため。(40代、小児科)
・施設が集患活動に積極的になり、急患が増えました。施設内の医師数が減った分、診療外の仕事も増えています。(50代、耳鼻咽喉科)
・電子カルテとなり、就業中に記載すべきことが増えた上、インフォームド・コンセント内容の記載など、益々増加している。(50代、腫瘍内科)

6位 「わからない」  90件
・10年前と現在では役職など立場が異なっているので、単純に比較はできない。(60代、一般内科)
・個人的には時間外労働が増えているが、勤務している病院も同じではなく、単純に比較は出来ない。(40代、精神科)
・施設により時間外労働の時間は違うので、増えたか減ったかわからない。どこの病院も仕事量は増えてきていると思います。(50代、循環器内科)

調査結果の詳細(2):「働き方改革による時間外労働の規制を遵守できると思うか?」

(回答者:MedPeer会員医師の内、勤務医3,000人、調査期間:2019/7/31~2019/8/1)

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<回答コメント(一部を抜粋)>
1位 「どちらかといえば遵守できないと思う」  949件
・患者の状態が悪かったり、勤務時間の終わり頃に紹介患者さんが来たりすると、時間外労働が無くならないと思う。(40代、消化器内科)
・医師の高齢化、医師不足の最たる地域医療の現場でこれが果たして遵守できるかといわれれば、大変困難なことである。医療の内容のパワーダウンを、医療を受ける側がある程度理解してもらえれば可能になる部分もある。(60代、脳神経外科)
・主治医制や、救急、手術に対する人数を考えると不可能と考えます。科によっては可能だと思います。(30代、整形外科・スポーツ医学)
・使命感によって医師となる方が多いと思いますので、なかなか遵守は難しいのではないでしょうか。(50代、一般内科)
・勤務医は絶対的にマンパワーが不足しており、書類などの事務作業も年々増加している。時間を規制するだけではなく、根本的な問題を解決しない限り、遵守は難しいと思う。(60代、脳神経外科)

2位 「遵守できないと思う」  699件
・医師数が少ない地域、医師数の少ない診療科では診療体制の抜本的改変なくして遵守できないと思われる。(70代、小児科)
・大学病院は、診療以外に教育、研究も必須なので、どう考えても無理。研究は自己研鑽とも言われるが、特定機能病院では、義務付けられている。(60代、感染症科)
・診療科の特性上、患者状態次第になります。マンパワーがあれば別とは思いますが。(30代、救急医療科)
・年中無休、24時間対応で病院をやる限り難しい。また病院受診側は「いつも開いていて当たり前」という風潮があり、難しいと思う。(60代、一般内科)

3位 「どちらともいえない」  620件
・遵守したとしても、医師の業務量が格段に減るとは思わない。(40代、一般内科)
・時間内に業務をすべて終わらせることができるのか現在の体制では難しい気もします。(30代、神経内科)
・法整備が整い従わざるを得ないと思いますが、慣習が残るところもまだあるかと。(40代、麻酔科)
・医師は元来自由業なので業務時間を完全には管理できないし、診療途中で中断できないので遵守は難しいが、法律で規定されるので対応しないといけないので。(60代、一般外科)

4位 「どちらかといえば遵守できると思う」  484件
・当院でも最優先課題に掲げており、遵守できるかどうかと言うより、しないといけないとの方針です。ただ個々にはまだ困難なところもあり「どちらかといえば」を選択します。(60代、脳神経外科)
・完全に遵守するのは難しいと思うが、世の中の流れとしては遵守しようという方向になってきていると感じる。(30代、一般内科)
・罰則規定があるので遵守せざるをえない。今いろいろ言われるのは、業務の一部が自己研さんといわれることです。(50代、神経内科)
・うちの病院はできると思いますが、医療界全体のことはわかりません。多分完全には無理でしょう。特に大学病院は。(50代、精神科)

5位 「遵守できると思う」  248件
・当方は可能ですが、経営陣が意識改革をしないと難しい施設は多いのではないでしょうか。(50代、一般内科)
・出来るように工夫をしていかないと効率化が図れないと思う。(40代、皮膚科)
・外来診療しかしていませんので大丈夫です。しかし、大学病院などでは無理だと思います。(60代、緩和医療)

調査概要

<調査(1)>
調査期間:2019/6/27 ~ 2019/7/3
有効回答:2,908人(回答者は医師専用コミュニティサイトMedPeerに会員登録をする40代以上の勤務医)
調査方法:MedPeer内の「FORUM Survey」コーナーにおいて、医師会員からご投稿頂いたテーマをもとに、以下の質問を投げかけました。

近年、医師の時間外労働が問題となっています。時間外労働をしないと現場が回らない、仕事が終わらない場合があるため簡単になくすことができないのが現実です。最近では働き方改革などもありますが、皆さまの時間外労働の時間は10年前に比べ減りましたか、増えましたか。

1. 減っている
2. どちらかといえば減っている
3. 特に変わらない
4. どちらかといえば増えている
5.増えている
6.わからない

 
<調査(2)>
調査期間:2019/7/31 ~ 2019/8/1
有効回答:3,000人(回答者はすべて、医師専用コミュニティサイトMedPeerに会員登録をする勤務医)
調査方法:MedPeer内の「FORUM Survey」コーナーにおいて、医師会員からご投稿頂いたテーマをもとに、以下の質問を投げかけました。

2019年4月1日から働き方改革関連法が順次適用されています。その中でも時間外労働の上限規制は、時間外労働が多い勤務医の方からすると大きく環境が変わるかもしれません。医師の上限規制が始まるのは2024年を予定されています。規制開始当初の年間の上限時間は下記のようになる予定です。
・労使協定により延長可能な上限時間は「年960時間」
・地域医療確保暫定特例水準、または集中的技能向上水準に該当する場合の特例水準として「年1,860時間」

皆さまはこれらの規制が施行された場合に、この法を遵守できると思いますか。

1. 遵守できると思う
2. どちらかといえば遵守できると思う
3. どちらともいえない
4. どちらかといえば遵守できないと思う
5.遵守できないと思う

 

引用・転載時のお願い

本調査結果の引用・転載時には、必ず下記のとおりクレジットを明記いただけますようお願いいたします。
医師専用コミュニティサイト「MedPeer」調べ、と明記ください。
・WEB上での引用に際しましては、「MedPeer」に https://medpeer.jp へのリンク付与をお願い致します。

【メドピア株式会社について】
「Supporting Doctors, Helping Patients.」をミッションに、医師12万人(国内医師の3人に1人)が参加する医師専用コミュニティサイト「MedPeer」を運営し、医師の臨床やキャリアを支援。2019年からは薬局・薬剤師向けの支援サービスも提供を開始。グループ全体では、法人向け産業保健支援サービス「first call」や、管理栄養士による食生活コーディネートサービス「ダイエットプラス」、特定保健指導など、専門家ネットワークを活かした各種ヘルスケアサービスを展開している。
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