AI時代のエンジニアは「棟梁」へ。 プロダクト組織の理想形とプリンシパルエンジニアの使命

エンジニア座談会

AI時代のエンジニアは「棟梁」へ。
プロダクト組織の理想形とプリンシパルエンジニアの使命

AIがコードを書く現代、エンジニアの本質的な価値はどこにあるのか。 メドピアはこの問いに対し、プロダクト組織のあり方を再定義しました。

ビジョンを描き「何を作るか(What/Why)」を導く「指揮者」。 そして、技術を研ぎ澄まし「いかに作るか(How/Make)」に責任を持つ「棟梁」。 この両輪が揃って初めて、医療の未来を支える堅牢なプロダクトが生まれます。

その棟梁たちの最高峰として組織の技術的背骨を担うのが「プリンシパルエンジニア(PE)」です。 新たな組織の定義によって何を目指していきたいか、4人のPEがその真意を語り合います。

トークメンバー

  • メドピアのエンジニア基盤・プラットフォーム担当。
    PE全体のリードとして、エンジニア組織のあり方の言語化や採用にも携わる。

    2020年入社

  • 本務では医師プラットフォームの横断的な技術課題を解決する。
    PEとしてエンジニアの評価制度改定を中心に担当。

    2023年入社

  • 医療機関支援事業部所属。薬局・病院と患者をつなぐサービスを担当。
    PEとしてはエンジニアのAI活用・開発生産性向上がミッション。

    2017年入社

  • エンジニアリング推進室のSRE・セキュリティ領域担当。
    セキュリティルールの見直しや新評価制度の検討にも参加。

    2019年入社

分業ではなく「責任の明確化」。 プロダクト組織における指揮者と棟梁とは

── メドピアにとって今後あるべきプロダクト組織の理想形が「指揮者と棟梁」の関係性であるということですが、これはどんなことなのでしょうか?

僕は、この考え方は代表の後藤さんの言葉をそのままに認識していくのが良いんじゃないかと思います。後藤さんがnoteに書いている通り、指揮者は異なる職務を束ねてビジョンや情熱を持ち、プロダクトの「WhatとWhy」を描く存在。
対して棟梁は、それを実現するための「HowとMake」を担う、言うなれば「ハード」な部分に責任を持つ存在です。目指す方向は一緒だけどぶつかったりもする。でもその結果良いものが生まれるよね、という。

▼関連noteはこちら
指揮者と棟梁-プロダクト組織の理想形- ↗
そうですね。2つの関係が高い水準でかみあって初めて良いものがつくれる。
これが絶対的な正解ではないけれども、後藤さんの「こういう組織にしたい」という考えに共感しています。が、皆さんどうです?
同意ですね。僕の中では、「脳の使い方が違う」というのがすごくしっくりきます。
指揮者性に長けている人は、ビジョンをしっかり持ち「何を作るか」の思考に長けているけれど、逆に技術的な実現性を考えて「いかに作るか」というところに弱みがあったりもする。だからこそ責任を明確にして、お互いの強みを活かせるようにする。エンジニアにとっても、自分の専門性に誇りを持って向き合える、いい分け方だなと感じています。

── この独自の定義がされた背景には、どんな議論があったのでしょうか?

私が関わり始めたきっかけは、ある時の全社ミーティングで組織運営の変革方針が打ち出されたときからでした。
そのときは内容が全然腹落ちしていなくて、後日質問会で質問を挙げたら、後藤さんが逆に私に意見を求めてきたんです。「AIが普及した世界で、エンジニアはどう価値を出すと思う?」と。そこから後藤さんとの対話に発展し、あるべきプロダクト組織に関する議論に混ぜてもらうようになりました。
僕は後藤さんにランチに誘われて組織づくりの構想を聞きました。自分でも、AI時代に生きるエンジニアってどうあったら良いんだろうかと、ちょっと不安になりながら考えていたところだったので、当事者として議論に巻き込んでもらいました。

まず、メドピアはテック企業である以上「プロダクトが命だ」という思想にたって、そこに必要な組織風土は「良いプロダクトをつくるプロフェッショナル集団」であると。
そのプロフェッショナル集団は、アウトプットやアウトカムの品質にとことんこだわる「棟梁みたいな存在」の集まりなんじゃないか、という仮説が初めにあって。
でも会社として、プロダクトは「創り届け」なければいけないので、つくる品質にとことんこだわる「棟梁性」以外の、顧客と向き合いながらプロダクト創造の原点を担うような別の素質も必要じゃないか?という議論をしたんです。それに名前をつけるとしたら「指揮者性」ではないか、という解が出てきました。確かにそうやって責務を分けるのが綺麗だな、とその時点で僕は腹落ちしました。

10年先も揺るがない「骨格」を創る。棟梁が守るべき美学

── 「棟梁」には3つの要素がある、と定義していますね。それらについてどう捉えているか教えてください。

後藤さんのnoteで明文化されていますが、1つ目が「プロダクトの長期耐性を担う」、2つ目が「卓越した技術者としてリードする」、3つ目が「プロダクトに奉仕する」です。
そのうちの「卓越した技術者としてリードする」は言わずもがなの前提にあると思っていて、僕は「プロダクトの長期耐性を担う」ことと「プロダクトに奉仕する」ことが特に重要だと感じています。
経営者の後藤さんがこれを定義してメッセージにしたことにすごく意味がありますよね。
そう思います。生成AIの勃興もあって、高速にアウトプットを出せる人が評価されやすい中で、ユーザーや顧客から直接見えない長期耐性や非機能要件にフォーカスを当てて明文化してくれました。
それが「棟梁は設計思想や構造に責任を持つべきだ」という共通認識になり、そこを大事にしてきたエンジニアがちゃんと評価される仕組みに繋がるので、しっくりきました。
プロダクトを運用し続ける会社だからこそ、こういう視点は不可欠だと思います。
ひいては、一般的な報酬制度ではこぼれ落ちてしまいがちな「長く良いサービスを開発し続ける人」を正当に評価する組織文化が、より強固になっていくんじゃないかと思います。
2つ目の「卓越した技術者としてリードする」ことって、当たり前のことではあるんですが、ひとつ思うところとしては、技術的観点でリーダーシップをとることが特に重要だと思っています。
あるプロダクトの技術要件が、たとえばオーバースペックであるとか逆に考慮不足の点があるなどで違和感を感じたとします。そこで棟梁はしっかり挙手して指摘して、適切な判断をリードしていくことが求められると思います。

── では、「プロダクトの長期耐性を担う」とは、具体的にどのようなことなのでしょうか。

例えば、5年後に技術スタックやサービスを切り替える可能性を見越した設計をしておく。目先の機能追加だけじゃなく、将来の負債を未然に防ぐ「拡張性」をどこまで考え抜けるか。それが長期耐性の本質だと思います。
具体的なエピソードで言うと、薬局向けのFAX送信機能の実装があります。将来的に外部サービスを切り替える可能性を想定し、プロダクトディレクターから指示される前に、バックエンドのインターフェースだけを替えれば済むように設計しました。これは「そうあるべきだ」というエンジニアとしての共通認識、いわば文化として根付いている部分でもあります。ユーザーからは見えなくても、5年後、10年後もそのプロダクトがちゃんと動き続け、さらに拡張していける「骨格」を設計できるのは、やっぱり人間であり、棟梁だけなんですよね。

── 「プロダクトに奉仕する」という要素については、どう捉えていますか?

「長期耐性を担う」という要素と通じるところがあるんですが、やっぱり短期的な売上やユーザーの望みを叶えるためだけの目的でシステムを複雑にすると、結局あとで自分たちの首を絞めることになる。セキュリティやパフォーマンスといった「非機能要件」を守り抜くために、ときにはビジネスサイドに対しても堂々と「NO」と言う。これがメドピアの棟梁に求められる覚悟です。
まさにそうですね。「それを導入するとシステムの美しさが損なわれるし、運用コストが跳ね上がる」と判断して、社内の議論の場で「それは今やるべきじゃない」と抵抗することもあります。
ただし、狭い視野での判断にしないために、医療機関との商談の場に出ることもあります。ユーザーや顧客の生の課題に触れることで、言葉になっていないニーズを汲み取り、それをプロダクトの構造に落とし込む。現場の肌感を持って「骨格」を設計することが、結果として10年先も通用するプロダクトの長期耐性に繋がっていくのだと思います。

組織を「棟梁集団」へ。プリンシパルエンジニアが担う変革

── 皆さんは棟梁集団を率いるプリンシパルエンジニア(PE)ですが、どのような役割を担っているのでしょうか?

PEは「棟梁集団としての組織を作り上げること」がその役割です。プレイヤーとして卓越していることは前提として求められますが、その上で、採用や評価制度、技術選定のあり方など、あらゆる仕組みを整えて、全エンジニアを「棟梁」へと引き上げていくのがミッションです。
私はSREやセキュリティの視点から、各チームが少数精鋭で自律的に動ける状態をどう作るかに集中しています。そのためにセキュリティルール見直しや制度設計をしていき、どの開発チームも私たちが運用フォローや監視をせずとも安定して開発・運用ができるような環境づくりをしていきます。
私は、組織全体の制度設計を経営陣と連携しながら行って、棟梁が最大限パフォーマンスを発揮できる組織を構築する役割を持っています。近々、エンジニア組織ではマネージャーをたてる管理制度を廃止する予定です。最近は若手エンジニアの間でも、「ピープルマネジメントができるようにならないと評価されない」という不安が消えて、「技術を極めることで事業や経営に寄与できる」という考えが浸透し始めているのを感じます。
僕は特にAIを使い倒して、開発生産性を極限まで高めたい。各エンジニアが棟梁としてAIという道具を使いこなし、細かいタスク管理さえ不要になるような世界を作りたいんです。そうすれば、もっと本質的な「プロダクトをどう良くするか」という思考に全員が時間を使えるようになりますから。

第二創業期のカオスを楽しみ、医療の未来を刻む仲間へ

── 未来の棟梁エンジニアに、どんな人を求めていますか。

AIという武器を手にし、自らのパフォーマンスを最大化させる覚悟がある人。正解がないカオスな状況で、「自分はこの構造が正しいと信じる」と意志を持って決断を下せる人と一緒に働きたいですね。安定を求めるのではなく、自ら仕組みをアップデートし続けたい人には最高の環境ですよ。
医療というドメインは本当に複雑です。でも、だからこそエンジニアリングのしがいがある。この難解なパズルをAIと共にシンプルに解き明かしていく。そのプロセスに知的好奇心を感じる方と、ぜひ肩を並べて働きたいです。
10年後、自分が関わったプロダクトが医療のインフラとして当たり前に存在し、誰かの命を支えている。そんな景色を想像してワクワクできる人と出会いたいです。妥協のないものづくりを追求し、10年先も揺るがない骨格を創り上げる。そんな未来の棟梁候補の皆さんを、私たちは待っています。
今のメドピアは、いわば「第二創業期」。新しいプロダクトの立ち上げも加速していますし、まさにスタートアップのようなスピード感で未知の領域に挑んでいます。決まったレールはないので、自らレールを敷き、道を切り拓いていくことを楽しめる人であってほしい、それに尽きると思います。「棟梁」なんて新しい言葉で定義するくらいに、僕たちは腹を決めて新しいことにチャレンジし続けています。こんなメドピアの「棟梁性」に共鳴した方は、ぜひ仲間になってください!
Recruitment

採用情報

医療を次代へ残すための、航海を共に。
プロダクトと人の力を信じて。
この国の医療を守り抜く挑戦に、あなたの力を賭けてみませんか。