研修医よ、実学が大事ですよ!
2006.10.15
カテゴリー:独り言

ふとしたことで、最近の研修医の生活を垣間見る機会がありました。愕然としました・・・。

その研修医の方は、「大事なことは教科書・講演会で学べばいい。内科学というのは効率で学ぶものだ。」
という主旨の事を仰っていましたが、このような考え方の医師が増えていくのは正直まずい気がします。

 

臨床研修が必修化になり、国により、ある程度研修医の身分が時間的・金銭的に守られるようになりました。

自分が研修医になったときは、月額5万円弱の基本給+アルバイト代、時間の拘束は無限、
という状況でしたからかなりきつかったのは確かです。あまりにきつく、ポケベルの電源を切りたくなったこともあります。

自分は、自己分析というものが苦手で、未だに自分自身を明確には把握できていませんが、筋金入りの「根性無し」
であることだけは認識しています(^_-)

その自分が研修医になるときに考えたのは、「とにかく大きい器に行こう。その器の中で落ちこぼれないようにしよう。」
ということだけでした。周りに影響されやすい私は、小さい器に入ると、
その小さい器の中での落ちこぼれない程度にしか努力できない人間なのです。

その結果選んだのが都内の大学病院だったのですが、今思えば本当に恵まれた環境でした。
周りにいた10数名の同期は皆意識が高く、優秀・勤勉で、かつ個性豊かな仲間でした。今では皆バラバラですが、
あのツライ時期をあのメンバーで共有できたのは貴重な財産になったと思います。

その頃は自分も、「頭を使う内科医になりたい!私は体だけ動く医師にはなりたくない!」
なんて本当に生意気なことを言っていました。お恥ずかしい・・・。

そうは言いながらも、環境が良いため、頭を必死で使いながら、
同時に無理矢理にカラダを動かすことを求められていたので、結果的に良い研修ができたのだと思います。
「医師業は生涯学習である。勉強には効率が必要だ。」という原則が身に付いたと思います。

今、その道を外しつつある自分が憂慮するのも筋違いかもしれませんが、現在研修を積んでいる研修医の皆様は、
国が守ってくれていることで逆に頭でっかちの医師になってしまいそうな予感がします。

医療は実学です。カラダという不確実なものを扱う以上、経験則が大きいのは仕方がないことなのです。
頑張って病棟に張り付いていただきたいと思います。(噂では家に帰るよう指導されるという話ですが・・・)

頑張れ研修医!!


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