久しぶりに点滴を詰めながら考えたこと
2008.02.11
カテゴリー:医療関係

昨日から連直(連続で当直をすること)のため、ある病院に泊り込んでいます。

患者さんにある注射剤が必要だったので、看護師さんへの「指示書」というものに、「○○ 注射 一日一回朝」と書き込みました。注射については、医師自身が実行することになっている病院も多いので、自分でやればいいや、と思っていたのですが、看護師さんによると「詰めるのも先生になっています」とのこと。

(抗がん剤ならわかりますが・・・。)

と、研修医時代を思い出しながら注射剤を調合、注射してきました。

これは推測ですが、いろいろな事件や事故、医療ミスがクローズアップされるに従って、恐らく院長先生が医師による医療行為を増やしているのだろうと思います。勝手な推測なので間違っているかもしれませんが、現状の医療環境を見て、仮に自分が院長だったら同じことをするかも、いやもしかしたら、全て自分でやろうとするかも、と考えてしまうのです。

思い返せば自分が研修医のとき、点滴詰めはもちろん、他科依頼書を他科に届けること、輸血の伝票を届けること、夜間のレントゲン撮影、造影剤の注入まで、何でもやりました。
自分の所属していた大学病院は多くの人にばれているのですが、これは恐らくどの大学病院でも違いは無いと思います。
研修医の当時の給料は4.5万円/月ですから、経済効率的には大学病院で一番安い人材は研修医です。なので、それはそれで「合っていた」わけです。
但し、現在は研修医の待遇も改善されて、30万円程度は保証されているということですから、私の研修医時代と同じことをしているとしたら病院的には損失ですよね。今はどうなんでしょう??

ここで注意書きですが、本朝の点滴詰めには正直納得いっていませんが(笑)、大学病院時代の上記雑務は今思えばとても役に立ちました。

何より、意味の無いプライドをズタズタにされ、どうやって他科の受付さんのご機嫌をとって無理やり受けてもらうか?自分たちの書く指示書の字がいかに他人には読みにくいのか?PC上は埋まっている検査の予約には実は空きがあること、などなど、先輩医師にいろいろと教わりながら、学問でなく、「実学」を学んでいきました。

いかにも日本的ですが、実地で点数だけじゃなく、現場が人によって動いている、というのを身をもって学んだ場、が大学病院でした。

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