選択するということ
2008.10.18
カテゴリー:企業・会社経営

先日、学会で札幌に出張してきました。

テレビでたまに特集される、いわゆる「救急病棟24時」の舞台で働いている救急究明科対象の学会ですので、来ている人は多くが「朝まで仕事してそのまま飛行機に乗った」とか、「一泊二日で前後の日は当直」という状態で来ているわけですが、皆さんアツイ!

兄が最近この分野に携わっていることもあって、札幌の夜は、この救命救急科の医師たちとの飲み会でした。

基本的に皆さん気が良くて、キラキラした目をしています。やはり常に生死と向かい合い、完全燃焼しているからなのだろうな、と思ったのですが、その中でも私と同年代の方の言葉、態度が印象的でした。

彼は、高校も含めずっと北海道に育った人で、現在は札幌で救急救命の最前線に立っています。
経験も10年目で、自分がずっと臨床をやっていたら同じ位の経験だったはず。

聞いてみると、やはり今が一番充実している、とのこと。医師になって10年目となると大体のことは一人でできて、研修医を指導する立場にもなり、コメディカルからの信頼も厚くて、任せられる仕事、できる仕事、自分のやりたいことのバランスが取れてくるのだと思います。

自分は、4年前にこの人のような医師になることを「選択」せず、今の起業家医師という「選択」を行いました。
その選択が今でも正しかったし、自分の成し遂げたい道である、との確信がありますが、正直、うらやましかった…。

もちろん、自分が臨床をやっている時はとてもきつくて、最後はポケベルを壊したくなったこともありました。そういう意味では、この感情は一時の感傷であって、自分は臨床家向きではないのかもしれません。現在、自分のペースで仕事を作り、自分の言葉で多くの人に現在の事業の意義を伝えることのやりがいを感じているのも事実です。

しかし、自分も目の前の瀕死の患者さんを救う、このシンプルな目的の為に医師を志したことは疑いようがなく、それを純粋に突き詰めている彼を心から尊敬し、羨ましく思いました。

ところがこの後、彼から出た言葉は意外なものでした。

「充実はしています。でも、このままで良かったのか?今後もこのままで良いのか?確信が持てないのです。僕は、研究をしたこともないし、経営の勉強ももちろんしていない。今のまま、当直だらけの生活では体が持たないはず。。。」

「だから、臨床を飛び出し活躍している同世代の医師と会えると聞いて楽しみにしていました。」

彼も同時に他分野への羨望を抱いていたのです。

私は彼のように突き詰めていく「職人」タイプの人に憧れを抱き、彼は彼で、私のような「けもの道」を行く人に興味を惹かれていたわけです。

私にはどちらが優れた道かどうかはわからないし、どちらにも優劣は無いと思っています。

大事なのは、それぞれの道で全力を尽くし、充実した生活を送ること。

「選択」を行った以上、他の道を見ていないで、自分の道を開拓し、拡幅し、舗装し、後進のために案内板を立てること。
それぞれの道で成すべき事を継続して行ってきたもの同士は、将来分かり合える、そう感じています。

(photo by pseudoplacebo)

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