コミュニティへの敬意
2008.12.31
カテゴリー:Next Doctors関係
ここ一年間を振り返る意味で、パソコンのブックマークやフォルダを少し整理していました。
先日のエントリーでも書きましたが、半年間連載したコラムでテーマにしたのは、米国と日本の医療におけるITの活用と、それに伴う意識の変化やムーヴメント(日本ではまだ胎動ですが・・・)についてです。
自分は医師向けのコミュニティを運営していますので、当然上記テーマの中でも特に日米、更には世界の「医師向けコミュニティ・サービス」に注目しています。
今回ブックマークを整理していたのも、久しぶりに訪れたら他のサイトはどうなっているかな?との興味もあったからです。
海外のサイトはsermoを筆頭に成長や新しいサービスの開始が見られるものの、残念ながら日本における「医師向けコミュニティ・サービス」について、この一年の変化は全く無かった、と言っていいでしょう。
昨年から本年にかけて、Next Doctorsやその他いわゆるSNS系のサービスが立ち上がりましたが、あるものは既にリンク切れ、あるものはかなり古い更新情報がそのまま掲載、他のサイトは趣味の域を出ていません。
もちろん医師向けのポータルサイトとして既に大手のm3.comやcarenet、日経メディカルオンラインがある中で、同分野に挑みにくい事情はあると思いますが、私は上記3サイトはあくまでも利用型のサイトであり、医師のニーズを全て満たせているわけでは無いと考えています。
上記サイトにもコミュニティ機能はありますが、これらのコミュニティが今後医療界に大きなうねりを起こす可能性を秘めているのでしょうか?多様な悩みを抱える医師に解決策を提示できているでしょうか?医療サービスを受ける国民へ向け、十分な情報共有を進められているでしょうか?
私はまだまだやれることがあると思いますし、取り組むべき課題の多さに目が眩む思いをしています。
特にコミュニティと言うものは、運営者の意図だけで物事を進めることは不可能であり、会員との信頼関係の醸成、かつ、ぶれない運営方針、というものが大事な為、初期の性格設定というべきものを誤ると取り返しのつかないことになります。一度目的を見失ったコミュニティは、拡散へ向かうしかないでしょう。
早々に撤退した医師向けコミュニティの主宰者は、もしかすると「コミュニティへの敬意・覚悟」というものが少し足りなかったのかもしれません。私自身も、Next Doctors開始直後はかなり辛辣な批評を頂いたこともありますし、現在も慎重に、かつ会員皆さんの意見がどこにあるのか?を実際に伺いながら運営しています。
ITは便利な道具ですし、今は簡単にサイトを用意することができます。
しかし、道具はあくまでも道具。用意された「場」に想いが込められていなければ機能しません。
先日、SNSに飽きたユーザが半数、というシノベイトの調査結果が開示され、「SNSは終わった」的なエントリーが多く見られましたが、サービスの一つとしてのSNSは終わることがあっても、人がいて、コミュニケーションを交わす限り、人のつながりは無くならないし、それをネット上で補完するツールの必要性がなくなることは無いのです。(もちろん、特定のサービスがビジネスモデルとして成立しないことはありえます)
明日から新年。
TOBYOやLifePaletteなど、患者さん側のサービスは、徐々にですが充実してきています。
Next Doctorsも、新年からは本年に増して背水の陣で臨むつもりです。
単なるフォローワーは望みませんが、医療従事者側でも新たな動き、切磋琢磨できるサービスの出現を期待して、本年を締めくくりたいと思います。
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