医療や介護問題は私たち一人ひとりに迫ってきている

皆さんは、団塊の世代の方々が後期高齢者となる2025年に、認知症の患者さんが何人になると予測されているか、ご存知でしょうか？政府の推計によるとその数は700万人。実に高齢者の5人に1人が認知症を発症するとされています。つまり、ほんの10年後に医療・介護の問題は、私たち一人ひとりにとって身近な問題として対処を迫られることになります。

そのような切実な環境の中、「医療・介護現場のIT化」は遅れに遅れ、例えば診療所における電子カルテの普及率は未だに30％程度です。医療現場におけるIT化は世界の潮流であり、IT化により「医療の質の確保」、サービスの効率化による「医療費削減」、医療情報の透明化による「信頼感の醸成」など、様々なメリットが得られるのは自明です。

創業以来取り組んできた医師のプラットフォーム化

これらの問題に対処すべく、私たちは「ヘルステック」という言葉が生まれる10年以上前に創業した頃から、まずは医療チームのリーダーである「医師のプラットフォーム化」に取り組んできました。その結果、学会でのビラ配りから始まり事業提携など、地道なアプローチを通じて15万人（国内医師の約半数）が参加するプラットフォームを構築することができました。この過程で、医師であり社長でもある私個人は、東証史上初となる「現役医師兼経営者」として、2014年に東証マザーズに上場いたしました。上場したことにより、ある程度の財務基盤が整ったと同時に、よりチャレンジングな課題に大きな規模感・スピード感を持って挑む環境を得ています。

医療や介護の現場には様々な問題が山積していますが、それぞれに対するアプローチは問題ごとに異なります。そして、ヘルステック業界に挑む我々ベンチャー企業は、現場の問題解決とビジネスモデルを両立させるという困難な課題に対峙する必要があります。その中で私たちは、ベンチャーであり上場企業でもある立ち位置を活用しつつ、医師プラットフォームをベースとして新規サービスを量産し続けたいと考えています。

ヘルステック業界に今必要なのは「持続可能なイノベーション」

また、10年以上ヘルステック業界にいて感じるのは、この業界には「破壊的なイノベーション」は不要で、むしろ「持続可能なイノベーション」が必要とされている、ということです。イノベーティブな取り組みでありながら、同時に人の命がかかっているからこそ、各種ステークホルダーとの高度・緊密なコミュニケーションは必須です。私自身が現役の医師であることにこだわっているのは、現場感を持ってニーズを掴むことはもちろん、「医療現場の中の人」としてステークホルダーの皆さんと共に変革を巻き起こすことができる、という確信を持っているからなのです。

弊社では、元厚労省の医系技官の先生や、IT業界を牽引してきた熟練経営者の方々を顧問にお迎えしていますが、これら重厚な経営布陣に加えて、医療業界での経験を問わず柔軟な頭脳をもったチャレンジャーを融合させることで「持続可能なイノベーション」を実現しようとしています。

「集合知により医療を再発明する」。これは私たちのVision（実現したい姿）であり、ここまで運営してきたサービス群は、まだ私たちのVisionを実現するための序章に過ぎません。今後は弊社のプラットフォームを活用しながら、より「医療ど真ん中」に深く刺さるサービスを展開し、ヘルステック業界を牽引していく覚悟です。

まだまだ私たちの挑戦は始まったばかりです。ヘルステック業界で大きなチャレンジを、スピード感をもって展開したいメンバーの参戦を心からお待ちしています。